エッジの品質規格と仕上げの関連について
1.バリ取りとエッジ仕上げの違い
バリ取り・エッジ仕上げ・表面仕上げ
エッジ品質用語事典(日・英・中)
(1917年、BEST―JAPAN研究会発行)によれば
次のように定義されています。
1)バリ取りとは
部品のバリを除去して、鋭利なエッジをなくするために仕上げ加工とし
て行う作業のこと
2)エッジ仕上げとは
設計通りのエッジ品質を実現するための仕上げ加工としておこなう作業
のこと
2.設計で示すエッジ品質の図示には下記のようなものがあります。
1)指示なき角部はR0.3mm以下のこと。
2)指示なき角部はC0.1〜0.3mmのこと。
3)角部はR0.02〜0.08mmのこと。
4)角部はシャープエッジのこと。
「JIS B 0721 機械加工部品のエッジ品質及びその等級」で、エッジ仕上げの等級は、上記のいずれもB級(中級)に相当しています。指示された寸法公差以内に加工することになります。
エッジ寸法に公差または範囲を設けて加工するためのバレル加工条件やブラシ加工条件を求めた実験結果の発表事例は今までに少ないのが実情です。部品の角にバリが発生していても、この公差以内に加工する必要があります。
ここで、少し解説します。
1)と2)は比較的容易でしょう。
3)に示されたR0.02〜0.08mmのエッジ仕上げは、かなり難しい。バリも許されない。さらに許容される面取り量も小さい。0.02mm以上の面取りまたは丸みつけを可能にする仕上げ加工は少ない。一例を挙げれば、バリを抑制して「ゼロ」に近づけて、エッチングや粒度の細かい研磨テープ、砥粒入りナイロンブラシなどの仕上げ加工を適用する方法でしょう。
4)のシャープエッジとは次のように定義できます。
JIS B 0051 によれば、シャープエッジとは「ほとんどゼロに近い偏差をもつ「かど」または「隅」のエッジです。ほとんど「ゼロに近い」を数値で示せば「0.05mmまでのバリが許容され、しかも面取り量、すなわちアンダーカットも005mmまで許容される」エッジです。
0.05mmまでのバリを許容することが重要なポイントになります。実際にはバリを許容しないシャープエッジが要求されるでしょう。つまり、アンダーカットすなわち面取りCまたは丸みR0〜0.05mmです。このエッジ寸法では「バリはゼロ」で、面取り量も最大0.05mmです。
バリ取りの前加工で、バリ厚みが0.05mm発生すれば、この仕上げ加工方法は、大変難しいものになります。したがって、バリを極力抑制した前加工を採用して、バリを0.01〜0.02mm程度に抑える必要があります。
次に、面取り量Rまたは丸みCが最大0.05mm以下にするために、精密なエッジしあげが必要になります。
イオンエッチング、ケミカルエッチング、電解研磨、粒度の細かい研磨テープや砥粒入りナイロンブラシ、精密ブラストや磁気研磨などです。
エッジ寸法が精密になれば、さらにエッジ仕上げは難しいものになります。そして、バリとの関わりあいが極めて重要になります。 JIS B 0721では、極超鋭利エッジの寸法として、0.002mmの区分もあります。かみそりの刃先や工具の切れ刃、精密金型のエッジなどが対象です。刃先の仕上げは究極のエッジ仕上げで、電解研磨などが用いられます。
参考文献
1)バリ取り・エッジ仕上げ・表面仕上げ
エッジ品質用語事典(日・英・中)
1917年、BEST―JAPAN研究会発行
2)JIS B 0051 製図―部品のエッジー用語及び指示方法
3)JIS B 0721 機械加工部品のエッジ品質及びその等級
以上
